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2017年 03月 28日

蓮杖那智シリーズと柳田國男

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蓮杖那智シリーズ 北森鴻著 新潮文庫

数年前に一時帰国した折に買い求めていた蓮杖那智シリーズを一気読みしました。
民俗学の研究者である、東方大学助教授(後に准教授)蓮杖那智が主人公となり、フィールドワークの際に出会った現実の事件を解決する、というのがこのシリーズの骨子です。




学生時代、歴史が好きでずっと日本史を勉強したい、と思っていたのですが、そう言われてみると民俗学って歴史が絡むけど、どう違うんだろう?と改めてその違いを知らなかったことに気づきました。
民俗学というのはもっと実地に基づいた、、、民間伝承や口伝、普段の生活の中に溶け込んでいる歴史を掘り起こす学問だ、と言う事をこの本を読んで知りました。

そういえば、、、と思い出したのが学生時代の夏休みの宿題。
「児童文学」という講義を取っていたのですが、夏休みの課題が「地元の民間伝承について」でした。
「児童文学」の講義の内容ってもうあまりはっきり覚えていないのですが、この宿題だけは鮮明に覚えています。
というのも、児童文学なので、宿題も自分で子供向けのお話を書く、とかだと思い込んでいたのに、いきなり民話を調べてこい、だったので正直「えー、、、(;´д`)」だったんですよね。
(当時の私は自分で絵本とか作りたかったのです。苦笑)

それでも宿題はちゃんとしないと気が済まないA型人間なので、地元の民間伝承の本の話を元に廃寺まで出かけて、薄暗い境内でコワイ思いをして写真撮影までしてレポートをまとめたんですけど、つまり今思い返してみたら、そういうのが民俗学の勉強、ってことだったんですね。

当時はやりたいことと違っていたので不満しかなかったんですけど、今だったらそういうお勉強進んでやりたいかも(笑)

ちなみにこの蓮杖那智シリーズを読んでいたら、地元の謎(?)みたいなものが自分の中で納得いく答えが見つかって、「おお~~!」と目から鱗状態になりました。

実家は米どころの土地にあり、周囲は田んぼだらけなんですが、すぐ近くに小高い丘があって、その丘の周囲に何百もの大小様々な古墳があるんです。
土器や土偶も多数発掘されていて、現在ではその土地は県が管理、敷地内には発掘品を展示してある博物館もあります。
古くからこの辺りには有力な豪族級の人間が在住していたとされているのですが、実家の住所の一部分に酒、の文字が入ってるんです。
よく珍しい住所だね、と言われるのですが、「邪馬台」の中で蓮杖那智先生が「邪馬台国の謎は鉄と酒で解ける」と仰ってたんですよ。

つまり古代文明において、鉄と酒=米は欠かすことが出来ない重要なキーワードだった、と言う事なのですが、まさにそれって実家がある土地にぴったり当てはまるんだー!と気づいたのです。

住所に酒、と入っているのも多分昔から米どころだった=お酒はお米から作る、に繋がるし、大規模な米作が昔から行われていた=大きな力を持った豪族が住んでいた、、、大規模な古墳群がある、に繋がるんですよね。

いやぁ、、、思いがけず蓮杖先生のお陰で地元の歴史が分かってしまいました。

蓮杖那智シリーズは民俗学の謎と物語中に起きる事件の謎解き両方を楽しめるだけでなく、実際に自分の身の回りと照らし合わせて謎解きを楽しめる知的ゲーム感覚の本です。
歴史がお好きな方ならきっと楽しめるこちらのシリーズ、5作出版されています。
残念なことに著者である北森鴻先生は2010年に急逝されたため、最後の二作品は公私共にパートナーでおられた浅野里沙子先生が書き継いでおられます。

蓮杖那智シリーズ
凶笑面
触身仏
写楽・考
邪馬台
天鬼越

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遠野物語remix 柳田國男・京極夏彦 角川文庫

民俗学と言えば、やはり巨匠・柳田國男先生を取り上げるべきでしょう。

私も学生時代に遠野物語を読んだのですが、、、旧仮名遣いがちょっと面倒で分かりにくくて、正直面白く読めませんでした(;´д`)

が!なんと便利な世の中になったものです。
京極堂シリーズでお馴染みの京極夏彦先生が分かりやすく現代語訳してくださいました。

いやぁ、、、読みやすいっていいですね。
しかもあの独特の京極先生のリズム感ある文体なので、すいすい読めちゃって内容も頭にするりと入ってくれます。

うわぁ、、、遠野物語ってこんなに面白かったんだー!が読み終わった感想です。

で、こちらも購入してみました。

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遠野物語拾遺retold 柳田國男・京極夏彦 角川文庫

遠野物語の増補として生まれたこちらの本は長い間継子扱いだったのだそうです。
しかしいやいや読んでみると、これが遠野物語本体に負けず劣らず面白い。

まぁ増補なのですから、本筋からかけ離れていると言う事もなく、遠野物語の続きのような感覚だから面白いのは当然なのですけれど。

こちらも京極先生が分かりやすく現代語訳されているので、とても読みやすいです。

子供の頃「まんが日本昔ばなし」が大好きで毎週欠かさず見ていたのですが、遠野物語も昔ばなしも、昔の人たちにとってみたら恐ろしいほどリアルで現実だったんですよね。
私にしてみたら子供の頃見たまんがの印象が強くて、あれは作り物、ホンモノじゃない的な扱いだったんですけど、これらの本を読んだことで認識が変わりました。

遠野物語、いやぁ、、、すごいです、、、ホントに。
ただのおとぎ話じゃなくて、一つ一つの話の裏に隠されている本当の話の姿をぜひ推理しながら読んでみて欲しいです。
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by jamieoliverlove3 | 2017-03-28 00:00 | Book Club


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